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会長挨拶
第45回日本精神科診断学会 会長 本田 秀夫
(信州大学医学部 子どものこころの発達医学教室 教授)
2026年9月12日(土)と13日(日)に、第45回日本精神科診断学会学術集会を長野県松本市で開催することとなりました。松本での開催は、第31回学術集会(2011年)に続き、15年ぶり2回目となります。
今大会のテーマは「生涯発達から見た精神科診断学」です。近年、精神疾患の理解において、個人がどのような発達軌道をたどり、どのような環境的・社会的経験を通過してきたかを重視する視点が不可欠になっています。幼少期における気質や発達特性とアタッチメント形成、思春期・青年期までに経験することのあるストレスや逆境的体験、成人期以降の生活史の積み重ね、さらに高齢期における身体疾患との相互作用まで、人生の各段階には独自の発達課題が存在します。生涯発達の視点に立つことは、こうした多様な発達過程の「連続性」と「変化」を踏まえ、個人の歩みに寄り添った診断と支援を可能にします。また、この視点は、発達障害やパーソナリティ特性、精神疾患の早期徴候をどのように捉えるか、さらには長期予後や支援計画をいかに立てるかにおいても極めて重要です。
今回の学会では、幼児期から老年期までの各ライフステージにおける精神科診断について、生涯発達の視点から理解を深める場にできればと思います。最新の研究成果だけでなく、臨床現場での実践知、教育・福祉領域との協働、当事者・家族の生活経験など、多角的な議論が展開されることを期待しています。生涯発達の視点は単なる概念的スローガンではなく、臨床に実際的な変化をもたらす力を持っています。本学会が、その具体化に向けて知の交流を促し、互いに学び合いながら、新たな診断学の地平を切り開く機会となれば幸いです。
現在プログラムについて検討中ですが、多くの皆様に関心を寄せていただけるような充実した内容を目指したいと考えています。松本の地で皆様にお目にかかれますことを切に願い、心から楽しみにしております。多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。
